2007年、“Nature Medicine”に、日本医科大学大学院の太田教授らが、「分子状水素（Ｈ２）が、細胞内において抗酸化作用を発揮し、様々な疾患の予防と治療に適用しうる」ことを提唱されました。その後多くの論文が発表され、ヒトを対象とする多くの臨床試験が実施され、現在も進行中です。
水素には抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用、抗アレルギー作用、細胞死抑制作用、脂質代謝促進作用等多様な効果を発揮することが明らかとなっています。
同氏の研究により、水素はフリーラジカル連鎖反応が生じている時にのみ作用し、病態にのみ効果を発揮すると考えられています。水素はほとんどの臓器に効果を示し、非常に広い範囲の疾患に効果的であることが示されつつあるのです。
１ 水素ガスと市販の水素水・水素風呂は大違い！
水素（Ｈ２）はガス（気体）です。水素ガスの研究成果に便乗して、多くの水素水が販売され、水素水ブームがおこりました。水素は水に押し込めても非常に抜けやすく、市販の水素水のほとんどがインチキ（ひどいものでは、まったく水素が検知されなかった。）であると報道されました。（国民生活センター）数点だけ信頼のおける製品はありましたが。。また、本来 水素水にはない効能を謳って摘発された事例、有名人の癌治療目的に水素風呂が行われていた事例等、水素全体が胡散臭いものと誤解をもたれたことはたいへん心外です。
２ 心停止後症候群に対する水素ガス吸入療法が「先進医療」に
2016年12月9日付で、「院外心停止患者に対する水素ガス吸入療法」が厚生労働省が認める「先進医療」に追加されました。
水素ガスは、フリーラジカル・悪玉活性酸素を除去することから、心停止した後蘇生により脳の血流が再開した際に大量に生ずるフリーラジカルを消去することで、生存率・脳機能の改善が期待されます。
３ 末期がんの進行が停止・転移が縮小
2016年仙台で開催された「第20回日本統合医療学会」2018年熊本で開催された「日本統合医療学会・免疫部会設立記念学術講演会」で症例報告がなされ、（熊本県・玉名地域保健医療センター院長 赤木純児先生）高濃度水素ガス吸入による免疫学的効果が示唆されています。
当クリニックでも、高濃度水素ガス吸入単独、、自家がんワクチンや少量の免疫チェックポイント阻害薬（ニボルマブ【オプジーボ】）との併用により、QOL（生活の質）改善はもちろん、がんの再発防止、転移巣の消失・縮小効果を認めています。
これらの臨床例は、すべて株式会社へリックスジャパン製の「ハイセルベーター（Hycellvator)ET100)」を使用しています。同機は、1分間に1200mlの水素を発生します。山梨大学、東京大学等との共同研究が始まっています。レンタル制度もあり、ご自宅に居ながらにして、高濃度の水素吸入が可能となりました。